「ウィメンズヘルスケア」でこれからの自分とも仲良く

「ウィメンズヘルスケア」でこれからの自分とも仲良く

和泉 美枝

看護学部 看護学科 教授

#2 子どもにとって良い生活習慣とは?【和泉 美枝】

健康な毎日に大切なのが「規則正しい生活」。ところが日本人の睡眠時間は世界でいちばん短いといわれ、さらに大人の影響を受けて子どもたちの睡眠時間も短い傾向にあるそう。では、規則正しい生活はなぜ大切なのでしょう。和泉先生にお聞きします。

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Transcript

川添 今回は看護学部看護学科准教授(※)で、ウィメンズヘルスがご専門の和泉美枝先生に、「〈ウィメンズヘルスケア〉でこれからの自分とも仲良く」をテーマにお話を伺います。全4回にわたって、ここ京都にあります同志社女子大学のキャンパス内からお送りしていきます。それでは先生、よろしくお願いいたします。
※収録時。2024年4月現在、教授。

和泉 お願いします。

川添 前回は初回でしたが、大人の生活習慣と肥満予防ということでお話を伺ってきましたが、今回、2回目につきましては、子どもにとっての生活習慣ということで、特に睡眠のことをキーワードにしてお話を伺っていきたいなというふうに思っております。

和泉 はい。

川添 最近はですね、日本の子どもの睡眠時間が短いというのがちょっと話題になったり、問題視されているようなこともありますけれども。ぜひよろしくお願いいたします。

和泉 はい、よろしくお願いします。まず私のほうから川添さんにお聞きしてもいいですか。

川添 はい。

和泉 お子さんって何歳でいらっしゃいますか。

川添 うちは今4歳になったところですね。

和泉 そうですか。まだまだ大変な時期で。

川添 (笑)ちょっとできることも増えてきましたけどね。

和泉 お子さんは、何時に寝て、朝は何時に起きていますか。

川添 意識しているのは21時就寝。起きるのは一応6時45分、50分ぐらいっていう感じでしょうか。

和泉 睡眠時間は、何時間ぐらいになりますか。

川添 何時間ですかね。…10時間は寝られていないかも、9時間ぐらいでしょうか。あと保育園でお昼寝して、みたいな感じが最近の日常というところですね。

和泉 子どもは成長、発達をするので、もう少し睡眠時間は、4歳であればほしい。

川添 ああ、やっぱり。

和泉 11時間、12時間とかあれば理想的なんですが、やはり今、お母さんもお父さんもすごく忙しくて、働いて帰ってくる、残業して帰ってきて晩ごはんも遅くなって、そうすると寝る時間も遅くなって、子どもの睡眠時間も親に影響されて短くなっている現状があって。

川添 はい。

和泉 今、小学生はまだ21時までに寝ている人も多いんですけれども、中学生になってくると、0時以降に寝ている人が22%、高校生では約半数が0時以降になってくる。ちっちゃい間はお母さんが「寝なさい」って言って寝て。けれども、だんだん学年が上がってくると親のコントロールがあまりできなくなり、そうするとだんだん夜ふかし型になっていくので、今の段階からお子さんにも睡眠の大切さとか早く寝ることの大切さというのを教えて、中学生、高校生になっても、早寝早起きの習慣を作ってほしいと思っているんです。が、今本当に社会が、もう24時間明るいので、親のほうが睡眠環境を作ってあげないと、子どもが睡眠できない状況です。遮光カーテンを買ったりとか、あとスマホも。

川添 だめなんですよね、寝る前は。

和泉 ブルーライトの影響もあって。環境のコントロールを親がしないといけない状況に。

川添 睡眠時間が足りないっていうことは、子どもの体であったり、心身に対してどういう影響が出てくるものなんでしょうか?

和泉 睡眠には大きな働きがあって、レム睡眠、ノンレム睡眠というのがあります。体を休める(眠りの深いノンレム)睡眠と、あと記憶の整理をする(レム)睡眠。体を休めるということも大事ですし。あとはホルモンが、成長ホルモンとかが夜間に出るって、よく聞きますよね。

川添 そうですね。

和泉 なので、寝ないとホルモンが出てこない。成長ホルモンが出てこないので子どもの成長発達に影響してきますし、研究でも夜21時、22時以降に寝るお子さんはイライラが強かったり、精神的に安定しなかったり、あと疲れやすいという症状や学力への影響も出てきています。

具体的に言うと、22時半を超える幼児、ちっちゃいお子さんですね、半数以上が情緒不安定になることがあるので、夕食も19時ぐらいまでには終わらせて22時21時、できれば21時ぐらいまでに寝るというのがいいと言われてます。

川添 そうですか。たしかにうちも子どもを21時には寝かせるようにっていうことを、私自身の、もう日常の中で今一番の優先順位の高いことなんですけれど、それでもやっぱりその時間に寝かせられないとき、(睡眠時間が)足りないときってどうしても出てきてしまって、翌日の子どもの起き方、ぐずり方ももちろん、もう見てすぐわかりますし。

あと、起きられたとしても、その後の夕方までの元気度の持続というか、そういうのも「睡眠が足りていないと、多分しんどいんだろうな」っていうのが何となく見てとれるので、その辺はやっぱり子どもの間は、親がきっちり確保させるようにしないといけないんだなっていうのは、もういつも反省点ではあるんですけど。そうは言いつつ、19時までに夕食を食べてというところが、なかなか難しいですね。

和泉 そうですよね。

川添 仕事から帰ってから、それなりの時間で食事を準備して、ようやく食べさせられるのが、やっと19時ぐらいかな。

それより早くするっていうのが、もう何をどう工夫すればいいのか、というところでもありますし、あと、子どもも今、好き嫌いだったり、食べるもの食べないものとかもあるので、食べさせないといけないっていう思いと、どこかで手を抜きたいなという思いと、睡眠時間を確保してやらないといけないっていうところと。いろいろな、“しなければならないこと”というのがごちゃ混ぜになって、そこのあたりのやりくりがすごく難しいなっていうふうに思っちゃってますね。

和泉 そうですね。今のお母さん、本当に育児に悩んでいるお母さんが多くて、真面目なんですよね。頼る人もいなくって、「どうしよう」っていうお母さんが多くて、それで産後うつとか、体調を崩すお母さんも増えているのが現実です。私たち助産師としては、お母さんたちにもう無理しなくていいよって。手を抜けるところは抜いて、頼れるところは頼って、て。そうしないと、お母さん倒れるからねって。お母さんが倒れたら赤ちゃんも、お子さんも倒れるので。

川添 そうですね。

和泉 なので、お食事とかも毎日作らなくていいから、たまにはお惣菜を買ってくるとか冷凍食品を(電子レンジで)チンするとか、お母さんがしんどくなったらそういうのも選択肢として入れてもいいよって。もう絶対(完璧に家事を)しなければいけないとか思わないで、っていう助言はしていて。

川添 はい、そうですね、本当に。そうひとこと言っていただけるだけで心は軽くなるんですけれど、あとはそれを自分が良しとして実行できるかっていうところですね。

和泉 はい、そうですね。

川添 ありがとうございます。やっぱり子どもの生活習慣は、親の影響というところがあるので、今お話をお伺いしていて、親自身の生活習慣を子どもに合わせていくことも一つの解決策なのかなと、聞いて感じたんですけれども。大人の私たちにとっても早く寝る、そして早く起きる。そして、それなりの睡眠時間を確保するっていうことは、体にいいということなんですよね。

和泉 はい、そうです。

川添 子どもにとっていいということと、大人の私たちにとっていいというところの違いというか、大人にとってどういうところにメリットになるんでしょうか?

和泉 大人は仕事をしていて、仕事の効率とか仕事をしてる間の眠気とかだるさとか、そういうところは睡眠不足から来ていることも多くて、朝の目覚めが悪いとずっと日中もぼやっと過ごすとか。なので、睡眠だけの影響じゃないかもしれないですけれど、親の睡眠を見直すために、まず自分の日中のスッキリ度、朝起きたときのスッキリ度とか日中の眠気とかどうだろうって振り返ってもらって、朝スッキリ起きられないとか、昼間眠くてしょうがないとか、土日に寝だめをしてしまうとか、ちょっと考えてもらって、そういうのがあれば、ちょっと睡眠時間が足らないのかもしれない。なので、15分ずつ睡眠時間を長くしてもらって、自分のいい睡眠時間、基本的に7、8時間がいいって言われていますけれど、人によって必要な睡眠時間って違うので。

川添 そうなんですね。

和泉 15分ずつ長くしてもらって、自分に合う睡眠時間ってどこだろうって。やっぱり睡眠時間が適切にとれていると、朝スッキリ起きられるし、日中も眠たくないし、土日も寝だめをしないっていうのがあるので。

川添 そうなんですか。前回のお話にも出てきた自律神経を整えるっていうことにもやっぱり大きく影響してるものですか。

和泉 自律神経を整える、睡眠が乱れると、自律神経も乱れていきます。

川添 そういうことなんですね。ぜひ、子どものことももちろんですけれど、自分のことを整えるという観点でも、睡眠は大事なところで気をつけていきたいと思いました。ありがとうございます。

今回は睡眠をキーワードにしてお話を伺ってきましたけれども、次回はまた視点を変えまして、子宮頸がんの正しい知識を得ていきたいなというところで、先生にまたお話を伺っていきたいと思っております。本日はありがとうございました。

和泉 ありがとうございました。

川添 次回もよろしくお願いいたします。

和泉 お願いします。