毎日を笑顔に。乳幼児期の子どもの発達と子育て

毎日を笑顔に。乳幼児期の子どもの発達と子育て

塘 利枝子

現代社会学部 現代こども学科 教授

#3 集団行動が苦手な子どもには、どう向き合う?【塘 利枝子】

保育所や認定こども園に通い出すと、今まで気づかなかった個性が見えてくることも。「集団行動が苦手で心配」「園の行事に来てほしくないと言われる」……。そんなとき、保護者はどう対応すればよいのでしょう。不安のスパイラルに陥らないために、アドバイスをお聞きしました。

/ 9分37秒

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Transcript

川添 前回に引き続き、2023年10月29日に本学京田辺キャンパスにて開催しました「アニバーサリー・ホームカミングデー」での公開収録の様子をお届けします。それではどうぞお聴きください。

(ここから公開収録)

川添 改めまして、皆さんこんにちは。同志社女子大学の音声メディア「ひとつぶラジオ」公開収録の第2部となります。本日はホームカミングデーにお越しいただき、ありがとうございます。本日の公開収録では、「乳幼児期の子どもの発達と子育て」というテーマで、現代こども学科の塘 利枝子先生をお招きして、第1部ではご卒業生お二人にもご登壇いただいて進行してまいりました。

こちらの第2部では塘先生と私、広報課の川添で進めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。改めまして塘先生よろしくお願いいたします。

 はい、よろしくお願いいたします。

川添 第1部では芋縄さんと柴田さんのお二人に、それぞれのお悩みをご紹介といいますかお話しいただいて、それに対して塘先生からのアドバイスをいただいてきましたけれども、同じ子育て中でも悩みって本当にそれぞれだな、ということを感じながら、隣でお聞きしていました。

今回、公開収録にあたり、事前にリスナーの皆さまにもいろいろとお悩みを募集させていただいています。それらの中からいくつかご紹介をさせていただきながら、第2部は進めていきたいと思います。

(塘先生に)一つ目のお悩みになるんですけれども、私から代読をさせていただきます。ラジオネーム「あたたんさん」からのお悩み相談です。

『こんにちは。4歳の息子と2歳の娘を育てている現代こども学科の卒業生です。

4歳の息子が集団行動が苦手で、みんなと同じことに対して取り組もうとしないことが多いです。一人で違うことをしたり(いわゆる一人遊び)、誘われても嫌がったりします。一人で遊んでいるところに人数が増えてくると、違う場所で違うことをし始めます。

いろいろな場面でそういった姿が見られ、保育園で集団で活動する際にも参加できないことがあり、心配しています。』


……というようなお悩みで、お子さんが集団行動が苦手ということですけれども、こういうお悩みって多いんでしょうか?

 そうですね。先ほどの卒業生の話では主に乳児のことでしたけれども、幼児になって保育所とか幼稚園に行きだすと集団に入れなくて、もしかすると発達障害ではないかと思われる親御さんは結構多いんです。

ただ、集団に入れないイコール発達障害ではなくて、それぞれのお子さんの個性というのがあります。ちょっと物静かなお子さんだとか、一人でするのが好きっていうお子さんもいますよね。実は私もそうだったんです。幼稚園では全然、集団遊びはせずに、一人遊びばかりしていましたので。ただ、その頃は発達障害という言葉もなかったので、親もあんまり心配はしていなくて、少し物静かな子どもだろうという判断をしてました。

今は発達障害という言葉が(広まって)、良くも悪くも、みんなが知っているような言葉になりました。ちょっと集団に入れないと、「もしかすると発達障害かも」というように、心配になる親御さんもたくさんいらっしゃいます。ただ、集団に入れないということだけで、発達障害の判定が出るわけではなくて、もっと別の側面、(例えば)運動発達はどうか、手の器用さはどうか、スキップなどができるか身体運動の発達、あと先ほどの卒業生のお話にもありましたように言葉の発達はどうか、対人関係はどうかとかといったような総合的な判断をしていくわけです。ですので、うちの子が集団に入れなくて心配ということでしたら、幼稚園とか保育所に行っている場合にはその保育者の方に(聞いてみたり)、子育てサロンなどに行って、いろいろな専門家の方々に相談をしてみるといいかと思います。

川添 なるほど。どうしても親の立場で子どもを見ていると、「これができてない、あれができてない」と、気になるところばかり探しがちになってしまうのは、自分自身にも経験が少しあって。でも外の目といいますか、家族とか自分とは違う方から子どもを見ていただいているときに、感じてくださってることを親が聞ける。それは客観的な視点で、新しい発見もあるのではないかと思ったり。あと自分自身の心配事が、それによって解決されたりということにも繋がると思うので、親自身も周りを頼っていかないといけないんだな、そんなふうに感じます。

 そうですね。本当に親御さんは(周囲を)頼っていいと思います。自分の子育ての経験は(限定的で、さらに核家族なので)身近で見てこなかったわけです。ですので不安があったり、できないところばかりに目にいくというのは、当たり前の話なんです。けれど、いろいろな方に見ていただいて、「こんなこと、(この子は)できるじゃない」ということを教えていただく。親自身も子どものできないところだけではなくて、「これできるよね」というところを見つけてあげる、それも親の務めかなと思います。

川添 そうですね。「これはできる」とか「これができるようになった」とか、そういう本当に細かいところでも成長ポイントみたいなものを、親が見つけてあげたいというか、そういう思いもあるので、その辺は気をつけて、子どものことを見ていきたいなと思います。

 子どもにとっても、親からいいことを言われるのは、すごい自信になるんです。だから、子どもにも自信をつけさせるということが、とても大事だと思います。

川添 ありがとうございます。そうですね、今のお話にありましたように、発達障害とか、何か心配事があったとしても、判断基準は一つだけではないということ、周りの方にいろいろアドバイスをいただく、周りの方から見た自分の子どもの雰囲気などに耳を傾けるということが、すごく大事なことなんだと、改めて先生のお話を聞いて感じました。

今回の放送はここまでです。次回も引き続き公開収録による放送をお届けします。